教えて!恋愛の女神様
「そうそう。貧乏な男捕まえると、苦労しすぎて三十歳でババアになっちゃうもん。うわっ、ヤダヤダ」
「本当、鳥肌立っちゃう!」
「女の幸せって、男にかかっているよね」
「あったりまえじゃない!不細工で稼げない低学歴の男は貧乏神よ。みんな死んでしまえばいいのに」
「良い事言うねぇー。年収六百万円以下の男、絶滅しちゃえ!」
マアコ、アミ、ユカは『ねー!』と言って顔を見合わせた。そして私を見た。
「知佳もそう思うでしょ?」
「もっちろん!絶対かかわりたくないわ。見るのもイヤ!」
私は大きくうなずいた。低学歴で美人じゃない私が幸せになるためには、それしか方法がないと思っていた。良い男と結婚することが親孝行になるのではとも思っていた。母も会うたび電話するたび、そう言っていたし。
 ロマンスの言う『モテ子』になるためには、真逆の事をしているとも知らず。
 午前十一時四十分。アミ達と別れ再び一階にある談話室へ戻って来ると、もう十回目になる時間の確認をするため、室内に取り付けられた掛け時計を見た。そして十回目になる『ハア』のため息をついた。
(マジでどうしよう……ランチ、断ったらダメなのかな?)
こちらも十回目、同じアイデアを出した。もちろん答えてくれる人はいない。アミ、ユカ、マアコは授業に行っているので相談できない。肯定もされず否定もされず、私は一人行き詰っていた。
 女の勘として、裕矢が私に好意を抱いているのは分かっていた。しかし私が興味を持っているのは翔太で、裕矢ではない。裕矢には何の思いも抱いていなかった。
(興味のない人から、それも弟の代わりにご馳走してもらうなんて、ラッキーだけど面倒くさいな。だってこれまでご飯とか遊園地の入園券とか、デートの費用を出してもらった事に浮かれて体を許したらすぐ捨てられた。失恋して間もないから、同じ男が寄ってくる可能性は高い。裕矢さんはそんな風に見えなかったけど、慎重にいかないとね)
少し落ち着きを取り戻した私は、冷静に対応の仕方を考えた。これ以上、傷つきたくなかった。






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