教えて!恋愛の女神様
「いやいや、まだ腹二分目くらいだぞ。カレーくらい余裕で入る」
ロマンスはニヤリと笑うと立ち上がり、右手をパチンと鳴らした。とたん、特攻服はオシャレな白黒で格子柄のツインニットと黒いフレアースカートに変わった。髪型もポニーテールから腰まで届くストレートヘアに変わり、すっかり女子大生と言った風貌だ。
「どうだ、これなら知佳に会いに行っても目立たないだろ?」
「大変すばらしゅうございます、ロマンス様!今時の若い殿方もメロメロだと思います」
「だろう?ちょいと二、三人、釘付けにしてくるかのぅ」
「ロマンス様でしたら、百人でも釘付けにできますよ」
「だよなぁー!では、ちょいと行ってくる」
「おっと、お待ちくださいませ。どうぞこちらをお履きくださいませ」
今川は黒いエナメルのピンヒールを取り出した。
「モード感たっぷりの靴をご用意いたしました。今のままでも十分お美しいのですが、こちらを履かれますと、完成度百二十パーセントになるかと思います」
「おお、そうだな」
ロマンスは赤いスニーカーを脱いで放り投げると、今川からピンヒールをもらい履いた。詰めの甘いロマンスだった。
「これはいい!女子大生どころかモデルだ!」
嬉しそうに右を向いたり左を向いたりして全身を鏡に映すと、再び指をパチンとならした。ロマンスはデートにでも行くかのようにウキウキして地上へ降りて行った。
 一方、地上。人間界。どうにかタイムリミットの午後〇時に宿題を終えた私は、グッタリして宙を見つめた。
(こんなに一生懸命宿題を解いたのは久しぶり。もう、頭限界!裕矢さんと、ちゃんと会話できるか自信ないな)
思わずネガティブになってしまった。
「やあ、お待たせ」
「えっ、ああ、いえ」
しかしどっぷりと落ち込む間もなく、裕矢はやって来た。白衣を脱いだ彼は白いワイシャツに淡いピンク色のネクタイをしめ、グレーのズボンを履いていた。短い前髪を立てスポーツマンのような雰囲気を醸し出す彼は、とても爽やかで素敵だった。








< 41 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop