教えて!恋愛の女神様
気が付けば翔太に胸キュンしていたのも忘れ、トキめいた。
(危ない危ない!私が好きなのは翔太君で、裕矢さんじゃない。ちゃんと断らなきゃ!)
意を決しランチの断りを入れようと息を吸った。
「三講目あるんだよね?食べる時間無くなるから、さっそく行きこう」
「いえ、い、行きません!」
「行かない?どこか調子が悪い?」
「どこも悪くないです。でも、行きません」
「……俺の事、嫌い?」
「いいえ、嫌いじゃないです。でも、初対面の方にご飯をご馳走になるのは申し訳なくてできません」
「気にしないで。俺は社会人だし稼いでいるから、ランチをご馳走する事は、学生の君にとってコーヒー一杯おごるのと同じ感覚だよ。遠慮しないで」
裕矢は引き下がらない。必死に食らいついてくる。しかし私はどうしても行く気が起きなかった。
(早く家に帰りたいのに……弱ったな)
頭の中にロマンスの顔が浮かぶ。おなかが空きすぎてダダをこねていないか心配になった。
「すいません、本当にごめんなさい」
「いや、気にしないで。ただ、このままだと翔太に悪いし」
『翔太』の一言に、急にやる気が湧いた。
「ほら、翔太の代わりに俺がご馳走するわけだし。あっ、あの後翔太から『くれぐれも君の事をよろしく』ってメールが来ていたんだ」
「そう、なんですか?」
「ああ、だから行こう。お店はすぐ近くだし」
「で、でも……」
やはり今一つ踏み切れない。心のどこかで『相手が翔太でない事』がひっかかってしょうがなかった。
 とたん、誰かが私の肩をたたいた。振り返ると、信じられない人が立っていた。
「よっ!メシ食いに……いや、ご飯食べに行かない?」
そこには、見まごうべき女子大生ファッションをしたロマンスが立っていた。特攻服を着ていた時とは打って変わって、なんとも女らしい。何より体のラインになじんだツインニットを着ているせいで、巨乳がより目立つ。脇を通り過ぎて行く男子学生はみんな釘づけだ。







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