教えて!恋愛の女神様
 しかし私はチャンスと思う。これで裕矢もロマンスに興味を示せば、私とランチに行きたいと言わないかもしれない。ロマンスと行きたいと言うかもしれない。
(よかった!これでやっと断れるぞ!)
「よかったら君も一緒にお昼どうかな?)
「へっ?」
裕矢を見れば、普通にロマンスを誘っていた。彼女の巨乳パワーにはほとんど興味を示していない。
(信じられない……こんな男の人もいるんだ。『おっぱい、わしづかみたいー!』とか思わないんだ!)
「うれしーっ!喜んでいご一緒させていただくわ!」
(うへっ!信じられない。ロマンスが女言葉をしゃべった!)
「それじゃあ、さっそくランチへ行こう。時間はどんどん過ぎているから」
「えっ?」
「そうだ、その前に君と、君の友達である彼女の名前を聞かせてくれないかな?」
「えーっ!まだ聞いていないんですかぁー?」
ロマンスは胸の前でかわいく手を握ると、小首をかしげた。
(な、なんか変……)
「ああ、朝会った時はバタバタしていたから聞けなかったんだ。だからここでゆっくり聞こうと思っていたんだ」
「いや、ですからその……」
「いいですよぉー、いくらでも聞いてくださいっ!くわーしく話しちゃいますから」
とたん、ロマンスは裕矢に見えないよう私に向かって小さくウィンクした。
(ゲッ!何か企んでいる!)
「ただ、私すっごくおなかが空いているので、お店で注文してからでもいいですか?」
「わかった。じゃあ、さっそく行こう」
「はーい!」
「あ、あのっ!」
「やだ、知佳。何、ボヤボヤしているの?早く行きましょうよー。学食のメニューそろそろ飽きてきたって言っていたじゃなーい」
(言ってないよ、そんな事!)
言おうとしたら、裕矢が背を向け歩き出したとたん、ロマンスは手で私の口をふさいだ。ついでにぎろりとニラんだ。
「アタイの言うとおりにしな」
彼女の迫力に負けた私は二の句を告げる事ができず、すごすごと裕矢の後をついて行った。
(この後、どうなっちゃうのー?)
先の見えない展開に、心の底から不安になった。







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