教えて!恋愛の女神様
「用事って言っても大した用事じゃないじゃない。『家の近くにあるコンビニで、この前食べたカップラーメンの期間限定商品が出ていた』とか、『あのお笑い芸人が出ていたCM、すっごい面白いよね!』とか、人によってはぜんぜん大したことないと思う」
(よく調べているわねー)
「忙しい男の人なら、『くらだん!』って付き合ってくれなさそうだけど、時間がある人なら付き合ってくれる確率高くなると思うんだよね。特に裕矢さん優しそうだから、五年とか付き合っていいかげん飽きそうな時でも、ちゃんと返信してくれそう」
「そんなにホメてもらえると嬉しいな。付き合って五年でも、がんばっちゃうかも」
裕矢は満面の笑顔で笑った。
(いくらなんでも五年はないでしょ!)
叫びそうになるのを、私は必死に呑み込んだ。裕矢は穏やかな笑顔で私を見た。
「あの……」
「はい?」
「『知佳ちゃん』って、読んでもいいかな?」
「えっ?」
ちょっとドキッとした。これまで何度も体験したことなのに、やっぱり初めはドキッとした。
 ただ、すぐ『困ったな』と思った。
(私が好きなのは翔太君。翔太君に『知佳ちゃん』って呼んで欲しいな)
「いいですよ」
突然、ロマンスは言った。私だけでなく、裕矢もびっくりした。
「知佳、最近フラれたばかりでまだ傷が癒えていないせいか、軽く男性不信になっているんですけど、裕矢さんなら癒してくれるんじゃないかな。ぜひ仲良くしてください」
(勝手に決めないでよ!)
私はギロリとロマンスをにらんだ。ロマンスはへっちゃらな顔をした。
「そう言ってもらえると嬉しいよ!うん、仲良くしてね知佳ちゃん。ぜひ友達になってほしい!」
「はい、よろしく!」
またもやロマンスが答えた。私はイライラし、ロマンスにされたようテーブルの下で足を蹴ってやりたくなった。
「携帯電話のメールアドレス、教えてもらってもいいかな?」
「め、メールアドレスですか?」
「うん。またこうして食事したいし、どこかへ遊びに行きたいんだ」
「もちろん!さ、知佳。もったいぶらないで、教えてあげなよ」
「うーん……」
「それで今度、弟の翔太君も誘ってご飯食べよう!」
「…………!」







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