教えて!恋愛の女神様
「もしもし?」
『ああ、知佳。学校はどう?』
「別に。いつもと変わりない」
『そろそろ就職活動始まるんでしょ?』
「まあ、そうだね」
『何かやっているの?ほら、就職企業説明会に行ったりとか』
「まだ」
『大丈夫なの?うちの近所じゃカナちゃんもユキちゃんも先週行ったって言っていたわよ。あんたの方が都会に住んでいるんだから、就職活動は激化しているはずよ。ニュースで言っていたもの。そんなにのんきにしていてひびかないの?』
「うちの学校じゃこれからなの。だから大丈夫」
『本当に?あんたいつもそうやってのんきにしていて、最後になってアタフタしているじゃない』
「今は本当に大丈夫なの!」
『遊んでばかりいるんじゃないの?』
「勉強にバイトに忙しいんだって!」
『少しでも良い会社に入るために短大へ行かせたんだから、変な会社に入ってお母さんやお父さんをガッカリさせないでよ』
「今、忙しいの。電話切るよ」
『良い会社に入らないと、良い男だってつかまらないんだからね!』
ブチッ、私は通話ボタンを押し一方的に切った。
(あー、ウザイ!三日に一度電話かけてきてはこれだもん。私の言い分なんて、聞きやしない。そんなに良い会社に入れて良い男をつかまえたいなら、自分ですりゃいいでしょ。あたしに重荷をしょわせないで!)
「うんめぇ!」
突然、後ろから聞こえた。びっくりして振り返ると、冷蔵庫の前でロマンスがあんこが乗った串団子を頬張っていた。
「あーっ!私のおやつ!」
「この団子、ハンパなくうめぇ!どんな職人が作ったんだ?」
「ちょっと、かってに食べないでくださいよ!」
私は、ロマンスが手に持っていた残りの串団子を取り返そうとした。ロマンスはそれをスルリとかわした。
「返してよっ!」
「百年前食べた団子がこの世で一番うまいと思っていたが、時代は進化するもんだな。あの時の団子がかすんで見えるほどうまいじゃねぇか!」









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