教えて!恋愛の女神様
「だーかーら!盗んだんじゃなくて、勝手に聞こえてきたんだよ!あんだけデケェ声でしゃべっていたら、耳栓していたって通り抜けらぁ!」
「……地獄耳」
私はボソリと言った。ロマンスは鼻で笑った。
「おほめにいただき光栄だ。エンマはアタイの酒飲み仲間だしな。友達をほめてもらえて嬉しいよ」
「えっ?酒飲み友達?すごっ!」
「で、何で学校に入ったんだ?母親の言うとおり『少しでも良い会社へ入って、少しでも稼ぎのいい男と結婚するため』か?」
「違います!今の学校を選んだのは、将来的にやりがいのある仕事に就くために、少しでも多く知識を身につけようと思ったからです。経営学科ってだけあって、何かとつぶしも利きそうだし」
「何かやりたい事があるのか?」
「サービス業、かな。じっとしているの嫌いだし、バイトでレジ係やっているけど、『ありがとう』ってお客さんに笑顔で言われるとすごく嬉しいし。だから、もっとがんばろうかな、って思うし」
「ちゃんと自分を分析しているんだな。……エラいじゃねーか」
「でも、お母さんはそんな仕事についたらダメだって言いそうで、なかなか言えません」
「そう思う理由は?」
「短大までお金かけて行かせたのに、『高卒の人でもできそうな仕事をするのはおかしい』って言われそうで。いっつもそうなんです。私にだって言い分はあるんだけど、ぜんぜん聞いてくれない。自分の意見ばかり押し通そうとするんです。確かに合っていることも多いけど、なんかだんだんイライラしてくるんです」
「昔からずっとそんな調子なのか?」
「はい。ずっと『ダメ人間』って言われてきました」
私はハアと大きなため息をついた。心の奥底にしまいこんだ悲しみ。それは事あるごとぶり返し、私を苦しめてきた。勉強の時、友達といる時、恋愛の時……いつも『自分はダメ人間だから、大した結果を出せない』と思っていた。
「ダメじゃないさ」
「えっ?」
「知佳はダメじゃない。十分がんばっているよ」
「がんばって、る?」
「ああ」
ふいにホメられびっくりした。これまでのやりたい放題の振る舞いから、そんな優しい言葉をかけてもらえるとは想像できなかった。
「……地獄耳」
私はボソリと言った。ロマンスは鼻で笑った。
「おほめにいただき光栄だ。エンマはアタイの酒飲み仲間だしな。友達をほめてもらえて嬉しいよ」
「えっ?酒飲み友達?すごっ!」
「で、何で学校に入ったんだ?母親の言うとおり『少しでも良い会社へ入って、少しでも稼ぎのいい男と結婚するため』か?」
「違います!今の学校を選んだのは、将来的にやりがいのある仕事に就くために、少しでも多く知識を身につけようと思ったからです。経営学科ってだけあって、何かとつぶしも利きそうだし」
「何かやりたい事があるのか?」
「サービス業、かな。じっとしているの嫌いだし、バイトでレジ係やっているけど、『ありがとう』ってお客さんに笑顔で言われるとすごく嬉しいし。だから、もっとがんばろうかな、って思うし」
「ちゃんと自分を分析しているんだな。……エラいじゃねーか」
「でも、お母さんはそんな仕事についたらダメだって言いそうで、なかなか言えません」
「そう思う理由は?」
「短大までお金かけて行かせたのに、『高卒の人でもできそうな仕事をするのはおかしい』って言われそうで。いっつもそうなんです。私にだって言い分はあるんだけど、ぜんぜん聞いてくれない。自分の意見ばかり押し通そうとするんです。確かに合っていることも多いけど、なんかだんだんイライラしてくるんです」
「昔からずっとそんな調子なのか?」
「はい。ずっと『ダメ人間』って言われてきました」
私はハアと大きなため息をついた。心の奥底にしまいこんだ悲しみ。それは事あるごとぶり返し、私を苦しめてきた。勉強の時、友達といる時、恋愛の時……いつも『自分はダメ人間だから、大した結果を出せない』と思っていた。
「ダメじゃないさ」
「えっ?」
「知佳はダメじゃない。十分がんばっているよ」
「がんばって、る?」
「ああ」
ふいにホメられびっくりした。これまでのやりたい放題の振る舞いから、そんな優しい言葉をかけてもらえるとは想像できなかった。