教えて!恋愛の女神様
「ああ、そうかも……」
「しかし皆、この世になんらかの野望を抱き、生まれてくる。『引っ込み思案な性格を直したい』、『人生全部をかけて、俳優やりたい』、『聖母マリアのような、大きな愛を抱ける人になりたい』。誰も親の言いなりになるために生まれてくるわけじゃないんだ」
私は自分を肯定されたようで感動した。しかしすぐ、ため息をついた。
「そうなんですよね。うちの親も私を『いいなり』にさせようとするんです。すっごい困っています」
「親もさ、自分が『愛に飢えている』なんて気づいちゃいないんだよ」
「愛に飢えている?」
「ああ。服を買うより、おいしいものを食べるより、『君は素敵だね』、『お料理上手だね』ってホメて欲しいことに気づいていない。愛して欲しいことに気づいていない。だから誰かを言いなりにして、理想の人間を強制的につくりあげて、その人を介してホメてもらおうとする。ステータスが一つ増えるからな」
「じゃあ、どうすればいいんですか?親は代えられませんよ」
「いい質問だ。どうすればいいか。それは……」
「それは?」
「まず始めに。親を変えようとしない。そのまま受け入れる」
「でもそれじゃあ、会うたび電話するたびイライラするじゃないですか」
「その対処法として有効なのは、『できるだけ会わない、電話しない』だ」
「できるだけ会わない、電話しない?でも、親にそんな事していいんですか?」
「誰も姥捨て山に捨てろと言っているわけじゃない。お互い元気な時は必要以上にかかわるなと言う事だ。会ったり電話する回数が減れば、ケンカの種も減るだろ」
「そうなのかなぁ?私は機会が少なくてもイライラします。『そのまま相手を受け入れる』ほど心に余裕もないし。どうしたらいいですか?」
「うむ、良い質問だ」
ロマンスは首を縦に振った。
「よいか、知佳。アタイハお主に初めて会った時、自分を変えるのはとても大変だし多くの勇気がいると言った。覚えているか?」
「はい」
「なぜだかわかるか?」
「うーん……修行が本当にできるかどうか心配だから?」







< 57 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop