教えて!恋愛の女神様
「うんめぇー!さっき食べた団子もうまかったが、この焼きそばと言うものもうまいな。いや、二十一世紀の地球も捨てたもんじゃない」
予想通り食べると笑顔になり、見ていた私も嬉しくなった。一口食べれば、もっと嬉しくなった。
(やっぱりロマンスってスゴいよな。やる気のなかった私をやる気にさせたんだから)
改めて納得すると、ロマンスが使った分の食器も洗い、バイト先へ向かった。
 今アルバイトしている場所は、住んでいるマンションから自転車で走って二十分くらいの距離にあるスーパーだ。この地域では十店舗も支店を構える大型チェーン店で、けっこう有名。時給も良い。私はこの求人情報を同じ学部の松本灯から教えてもらい、入学して一か月目からレジ係として働いている。給料は全て遊ぶお金や洋服代などに消えた。だから貯金もない。学費や生活費は全て親任せだ。
(でもなあ、こんな生活送っていたら、ロマンスに叱られそう。『いつまで親のスネかじってんだ!モテ子は自立してんだよ!』ってね)
バイト先へ向かう途中、自転車のペダルをこぎながら考えた。親に夜のシフトでバイトが決まったと言ったら、文句を言いながらも安全のためにとこの自転車を買ってくれた。なんだかんだ言って、心配してくれている。。
(そうは言っても、いきなり生活費を自分で持つ自信ないよな。食費、光熱水費はもちろん、遊ぶお金に服代もいる。今だって足りないくらいなのに、とても無理だな……)
赤信号で止まると、ハアと大きくため息をついた。私のプランに『節約』の二文字はなかった。
 いつも通り出勤十五分前にバイト先につき更衣室へ行くと、同じ学部でバイトを紹介してくれた松本灯がいた。彼女はすでにアルバイトの証明である、店の名前が入った赤いエプロンをしていた。
「こんばんわ、アカリちゃん。今日もよろしく」
「おお!こんばんわ。こちらこそよろしく!」
灯はニッコリ笑うと、髪を頭のてっぺんでお団子に結い始めた。接客業なので身だしなみは大事。だらしない恰好をしていると、すぐ社員の人に注意を受ける。私も上着を脱いで鞄をロッカーにしまうと、肩まである髪を後ろで一つにまとめた。
 支度を整えると、近況をしゃべりながら二人で店へ向かった。






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