教えて!恋愛の女神様
「ねえ、知佳ちゃん。経営学のレポート進んでる?」
「ぜんぜん!実はさ、彼氏にフラれたばっかりでさ。めっちゃヘコんでいて、それどころじゃないんだよね」
「マジ?それは辛いねぇ。勉強どころじゃないよね」
「うん。復活するので精一杯」
私は泣きそうになりながらため息をついた。好きな人はできたが、まだ傷は癒えていない。すると灯は私の背中をさすってくれた。
「大丈夫、良い男なら一杯いるよ。そんな男、早く忘れちゃいなよ!」
「うん」
「知佳ちゃんオシャレだし良い人だから、すぐ次が見つかるよ。自信持って!」
「ありがとう、がんばる!」
灯に励まされフツフツと勇気がわいた。そして、申し訳なくなった。彼女とはそれほど親しくないのに、いつも優しくしてくれる。見返りも期待しない。
(いつか恩返ししなきゃ、バチがあたるな)
そう思った。
 バイトが終わったのは午後十時。疲れた体にムチ打ち自転車に乗れば、タラタラとペダルをこいで自宅へ向かった。なんとか二十分で着けば年季の入ったエレベーターに乗り、三階で降りた。
(あー疲れたー!もうダメェー。今日忙しかったから、すっごい疲れた。シャワー浴びてすぐ寝たい……)
『はあ』と大きくため息をついてエレベーターを降りると、ダラダラ歩いて部屋の前まで行き、ダラダラと鍵を開けた。疲れすぎて鍵を開ける事さえ面倒くさかった。ドアを開けるのは死ぬほどイヤだった。
「ヒッ!」
ドアを開けると、暗闇に誰かが立っているのが見えた。思わず私はバタン!と音を立てドアをしめた。
(誰っ!ストーカー?でも私、フラれはしてもフッてはいないよ。ストーキングするような人はいないよ!)
「おぬし、ドンくさいなぁ」
「ヒッ!」
突然後ろから声がした。恐る恐る見れば、腕を組んで立つロマンスがニヤニヤして見ていた。






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