教えて!恋愛の女神様
(彼に『君は運命の女だ。俺と付き合ってくれ』って告白され、デートの間中、お姫様のように扱ってくれた。遊園地へ行けば、入園券を買ってくれて、喉が渇いたといえばジュースを買ってくれ、『暑くない?』と気遣ってくれた。レストランに入る時はドアを開けてくれたし、テーブルにつく時、椅子を引いてくれた。もちろん食事代も、その後行ったホテル代も全部払ってくれた。夢のようにたわむれて愛し合った後、『愛している、知佳は最高だ』とまで言ってくれた)
私は新たにあふれてきた涙を手の甲で拭うと、キリリと写真を見た。
(……なのに、なんなのよっ!なんで振るのよっ!)
ぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!と壊れそうなほど強く携帯電話を握りしめた。
「こんの、クソ男!マジ、フザケンなっ!死んじまえ、死んじまえっ!」
再び暗闇に向かって叫んだ。
「あたしを捨てた事、死ぬほど後悔しろーっ!ドアホーッ!」
そろそろ声が枯れてきた。まるでオッサンのような声だ。
「本当、まるでオッサンだ」
ふいに、つややかな女性の声が聞こえた。一瞬聞き間違ったかと思った。こんな遅い時間に、地元じゃないところで私に声をかけてくる人の心あたりはなかった。
(疲れすぎて耳がおかしくなったかな?)
同時に、汚い言葉を大声で叫んでいたのを見られたかもしれないと思うと、恥ずかしくて周りを見れなかった。もし本当に誰かいたら、とっとと逃げたかった。
 私は確認しようと、ゆっくり後ろに振り返った
「…………!」
すると、いた。それも予想外の人が。
-真っ赤な特攻服を着た、女性のヤンキーが!-
私は恐怖のあまり、ものすごいスピードで顔を元に戻した。
(な、なんでこんな時にヤンキーが来るの?近くで集会でもあった?フラれてヘコんでんのに、『いつまで泣いてんだよ。マジ、ウゼェ!』ってボコられる?それとももっとひどい目に合わされる?今日の私、運無さすぎ!)








< 7 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop