教えて!恋愛の女神様
「知佳、良い事言うじゃん。たぶんそうだよ。半田、立洋大卒業なんだよ」
「うわっ、三流?授業ツマんなくて当然って感じだよ」
私たちは移動中も談話室に着いてからも、ひたすら大声でグチった。談話室はそこそこ混んでいて、先に来ていた学生たちは奥の席を陣取った私たちを迷惑そうな顔で見ていた。
 部屋の名前に『談話室』と、雑談をする場所をイメージする名前がついているので多少なら騒いでもよさそうだが、そんな事はない。利用する多くの学生はノートのコピーを取ったり、小声でしゃべっている。ちゃんと周りにいる人を気遣っているのだ。はた迷惑な行為をしているのは、私達ぐらいなものだった。
 周りの『痛い人達』を見る視線を無視し、私たちはあいかわらず大声で話続けた。
「ってか、なんか良い事ないかな」
「知佳、男にフラれたばっかだもんね」
「そう。アイツ超ダメンズだったから、早く忘れたいのになんか忘れられなくて。落ち込んだままなんだよね」
「しっかりしなよ知佳。もっと良い男はごまんといるんだから」
「そうそう。体目当てのエロ男なんか、考えるだけエネルギーの無駄だって」
「だよねー。わかっているんだけどさぁ、でも、なんか思い出してヘコんじゃうんだよね。そして『男運な……』」
途中まで言ってハッとした。昨日の夜、ロマンスに言われた事を思い出したからだ。
 昨夜の修行中、ロマンスは「私は男運が良い」と書いている時、ある注意をした。
『いいか、書くだけじゃなく口でも言え。「私は男運が良い」と。言葉には言霊と言う力が宿っている。言葉を口にすることで、その状況を自然と呼び寄せる事ができるんだ』
『へぇー、すごいですね!そんな簡単な事なのに』
『簡単だが、意外と気づいていない。実に残念だ』
『そうですね。もしそれが本当なら、簡単に色々できますよね。たとえば「私は美人だ!」「私はモテ子だ」、「良い男からアプローチされまくり!」って言えば、美人、モテ子、告白されまくりになれるんですから』
『もちろん、努力するという事が前提だがな』
『はい』
『ただ、言わないよりずっといい』





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