教えて!恋愛の女神様
「結構だ。とにかく……ここからすぐ出て行ってくれ」
「出て行く?どうして?ここは私たち学生憩いの場よ。講義もないし、学食も開いていないし。いても全然問題ないはずよ」
「そう思っているのは君たちだけだ。他の学生はさっきから早くいなくなって欲しいと思っている」
「ちょっと、さっきから聞いていたら、なんなのアンタ。初対面のくせして、ずいぶんエラそうじゃない」
アミは椅子から立ち上がると、翔太とニラみ合った。
「おっ、いいぞアミちゃん!」
「がんばって、アミちゃん!」
マアコとユカはのんきに応援しだした。まったく空気を読めていない。
(えーっ、どうしよう!このままじゃケンカになっちゃうよ。そうしたら、私ひどい女の仲間入り。翔太君に嫌われちゃう!)
思わず仲裁に入ろうと立ち上がった。とたん、アミはギロリと私をニラんだ。
「邪魔しないで」
「はい……」
すごすごと椅子に座った。
「確かに初対面だ。だからだいぶガマンしてきた。でも、さすがに限界だ。君たちのやっている事は迷惑すぎる」
「どこが迷惑なのよ!楽しくしゃべっているだけじゃない!」
「レポート書いたり、勉強している学生もいるだろ。しゃべるなら、もう少し小さな声でしゃべってくれ。うるさくて集中できない」
「勉強したいなら図書館へ行けばいいじゃない。ちょー立派なのあるんだから。だいたい、ここ談話室よ。『話す部屋』なの。勉強するとこじゃないの。『静かにしろ』って怒られる筋合いないわ!」
アミは一歩も引かない。どこまでも強気だ。対し翔太も引く気配を見せない。今にもつかみ合いのケンカになりそうだ。
 私は再び意を決すると、仲裁に入った。
「まあまあ、落ち着いて。怒ると疲れるよ。おなかが空くよ」
「だってハラ立つんだもん、この男。人が気持ちよくしゃべってんのに、いきなり来て説教しやがって」





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