教えて!恋愛の女神様
「説教されるような事するから悪いんだろ。言われたくなかったら、空気を読むんだな」
「まだ言うか!お前に説教されるほど、あたしは落ちぶれちゃいないんだよ!」
「そんな口調じゃ、とても社長夫人になれないな。あちこち連れて歩いたら、恥かかされるからね!」
「なんだって!お前、社長にでもなったつもりか!」
「俺が見た社長夫人は、みんなおしとやかで品格があって、教養を持ち合わせている人ばかりだった。イヤな事を言われても『お前』何て絶対言わない。カッコよく切り替えしていたよ」
「あたしだってそれくらいできるよ。見てから言いな!」
「まあ、まあ、まあ!」
私はさらに二人の間に割って入った。すると、二人はギロリとニラんだ。
(こっ、こわーい!)
「邪魔するなって言っただろ!」
アミは吐き捨てるように言った。
(ひぇーっ!)
とたん、翔太は冷たい目になった。心の底まで凍りつく目だ。
「彼女、君の友達?」
「えっ、あ、ああ、うん」
予想外の質問に驚いた。でも、次の言葉には、もっと驚いた。
「君、サイテーだね」
「…………!」
言うやいなや、翔太はすばやく身をひるがえし談話室を出て行った。エリカは荷物をまとめると、『翔太、待って!』と言って後を追って行った。
「マジ、ムカつく!あの男!」
アミは負けじと吐き捨てた。
「ちょっとイケメンだからって、エバってんじゃないわよ」
「社長夫人になれないですって?何でアイツに言われなきゃなんないのよ!」
「アイツと結婚するわけじゃないのに」
マアコ、ユカ、アミは猛烈に怒った。あまりの怒りぶりに、失神するのではないかと思った。
 だが私はそんな彼女たちを気遣う余裕はなかった。翔太に言われた『サイテーだね』が心にグサリと突き刺さり今にも気を失いそうだった。
(好きな翔太君に『君、サイテーだね』って言われた。好きな翔太君に『君、サイテーだね』って言われた……もう、絶対、彼女になれない!)
早くも新しい恋が破れ、立ち直れそうになかった。








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