教えて!恋愛の女神様
「そんな事はないさ。『バイト代が出るまで、ちょっと待ってください!』ってかわいく言えばいいんだよ。男はイチコロさぁ」
「イヤったらイヤです!だいたい串団子のせいでこんな目にあうなんて許せない。とっとと返してください!」
「授業料だと思えばいいじゃないか。これで知佳は賢くなれる!」
「モテ子になったら『お礼参りしろって布教すれば良い、他はいらない』って言ったじゃないですか。こんな切羽詰まっている時に授業料取るって、いったい何を考えているんですか?これじゃあ神様じゃなくて、悪魔ですよ!」
「気が変わったんだもーん!」
「はぁ?」
「やっぱり何か欲しかったんだもん!思いだけなんて、さびしすぎるぅー」
「ありえない!マジで悪魔だ!超アクマッ!」
私の怒りはマックスに達した。あまりの怒りっぷりにテーブルを頭の上に持ち上げた。ロマンスに向かってブン投げるつもりだった。携帯電話がボトリとジュウタンの上に落ちたが気にしない。ロマンスは『うおっ!』と言って、のけぞった。
 とたん、ジュウタンの上に落ちた携帯電話の着信メロディーが鳴った。電話がかかってくると鳴るよう設定したものだ。横目で本体真ん中のサブディスプレイを見れば、裕矢の名前が表示されていた。
(えっ、裕矢さん?)
怒っていたのも忘れ、携帯電話を見つめた。このタイミングでかかってくるとは思わなかった。
「出ないのかぁ?」
ロマンスは澄ました顔で言った。
「そ、それは……」
「どうせ、『メシごちそうするの、少し待って』って言わなきゃならなかったんだ。好都合じゃないか」
「誰のせいでそなったと思っているんですか!」
「怒っていないで早く出ないと切れちゃうぞー」
「しょうがないから、休戦にしてあげます!」
私はテーブルを下ろすと、急いで出た。
「もしもし?」
『こんばんわ、澤田です。今、話していてもいいですか?』
「はい、大丈夫です」
私は平静を装い返事した。しかし、内心ドキドキだ。






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