教えて！恋愛の女神様

「突然なんだけど、土曜日って何か予定入っている？」
頭の中に土曜日の日程を思い浮かべる。
　彼氏がいた時は、午前十時から午後五時くらいまでデートして、午後六時から午後十時までバイトをしていた。しかし彼にフラれた今は、アルバイト以外何も入っていない。いつも一緒にいるアミ、ユカ、マアコは彼氏がいるので、全員デートで遊べない。
「午後六時からバイトが入っていますけど、それまでは暇です。……もしかして、ご飯をごちそうする件ですか？」
『いや、そうじゃなくて……アルバイトしないかと思って』
「アルバイト？何のですか？」
予想外の嬉しい展開に、テンションが一気に上がった。
『土曜日の午前九時半から市内のホテルで司書の大きな研修会が開かれるんだ。その受付とプリント配りなんだけど、どうかな？』
「他は何もしなくていいんですか？」
『飲み物は麦茶をホテル側が準備してくれて、セルフサービスで飲むことになっている。だから知佳ちゃんにやってもらうのは、受付とプリント配り。二時間くらいで終わると思うんだけど、どう？』
「それなら私もできると思います」
『ありがとう！あちこちに声をかけたんだけど、みんな予定が入っていて断られたんだ。すごく助かるよ！』
「そう言ってもらえると嬉しです」
『ちなみにバイト代は三千円、交通費は別途支給。悪くないだろ？』
「三千円！は、はい。すごくいいです！」
（やったーっ！これで家賃が払える！）
私は満面の笑顔で遠くを見た。通話を切れば携帯電話を抱きしめ、しばしボーッとした。
　とたん、誰かに肩をたたかれた。見ればロマンスが腕を組み不敵に笑っていた。
「ほら、最終的に起きただろ？」
「まあ、そうですね」
「『恋愛にとって、ハプニングは最高のスパイスである』、良い恋になるかもしれんな」
「裕矢さんですか？まさか！土曜は仕事ですよ。イチャついている暇なんてありませんよ」
「ふふん、どうかなぁー」