教えて!恋愛の女神様
「……あの、お邪魔いたします」
ふいに声がし、あたりを見回すと、後ろに四十代半ばくらいの真面目そうな男性が立っていた。一糸乱れぬオールバックが印象的である。私は突然現れた男性に身の危険を感じ、悲鳴を上げそうになった。
「失礼!」
男性は慌てて手で私の口を押えた。
「私はあなたに危害を加える気は毛頭ございません。ご安心ください」
「フゴフゴレフハ?(本当ですか?)
「もちろんでございます」
それでも私は信じられず、男性の目をじーっと見た。ウソをついているなら見ているうちにバレると思ったのだ。
「信じていただけないようですね。……まあ、そんなお気持ちもわからないでもありません。私とて、突然部屋の中に男性が現れれば、ビックリいたしますので」
(そうそう、私はそれが言いたいの!)
私はさらにキリリと見た。男はちょっとびっくりした。
「そ、それではまず、自己紹介をば致しましょう。名前は今井秀則、職業はロマンス様のお付きをさせていただいております」
(へ?)
「ただ今回はロマンス様のお使いではなく、私自信の一存で知佳さんに会いに参りました。ま、おせっかいと言うものです」
私は今井の手を口からはがした。
「ろ、ロマンスのお付きだって証拠は?」
「かしこまりました。お見せいたしましょう」
今井は一つうなずくと、クルリと後ろを向き背中を見せた。
「あっ!」
彼が着たグレー色の作務衣の背中には、見知った詩が刺繍されていた。
-愛する人のためなら、喜んで散らしやしょう、この命-
「ロマンスの背中にも同じような詩が刺繍されていた!」
「この詩はロマンス様がお考えになったものです。ロマンス様はこの信念の元、恋に悩む多くの方を救済しようと日々活動されていらっしゃいます」
「そうなんだ」
「ロマンス様はとてもご利益のある神様でいらっしゃいます。必ず願いは成就してくださるでしょう。ただ知佳さんの場合、進歩の具合が表面に現れるまで時間がかかります」
ふいに声がし、あたりを見回すと、後ろに四十代半ばくらいの真面目そうな男性が立っていた。一糸乱れぬオールバックが印象的である。私は突然現れた男性に身の危険を感じ、悲鳴を上げそうになった。
「失礼!」
男性は慌てて手で私の口を押えた。
「私はあなたに危害を加える気は毛頭ございません。ご安心ください」
「フゴフゴレフハ?(本当ですか?)
「もちろんでございます」
それでも私は信じられず、男性の目をじーっと見た。ウソをついているなら見ているうちにバレると思ったのだ。
「信じていただけないようですね。……まあ、そんなお気持ちもわからないでもありません。私とて、突然部屋の中に男性が現れれば、ビックリいたしますので」
(そうそう、私はそれが言いたいの!)
私はさらにキリリと見た。男はちょっとびっくりした。
「そ、それではまず、自己紹介をば致しましょう。名前は今井秀則、職業はロマンス様のお付きをさせていただいております」
(へ?)
「ただ今回はロマンス様のお使いではなく、私自信の一存で知佳さんに会いに参りました。ま、おせっかいと言うものです」
私は今井の手を口からはがした。
「ろ、ロマンスのお付きだって証拠は?」
「かしこまりました。お見せいたしましょう」
今井は一つうなずくと、クルリと後ろを向き背中を見せた。
「あっ!」
彼が着たグレー色の作務衣の背中には、見知った詩が刺繍されていた。
-愛する人のためなら、喜んで散らしやしょう、この命-
「ロマンスの背中にも同じような詩が刺繍されていた!」
「この詩はロマンス様がお考えになったものです。ロマンス様はこの信念の元、恋に悩む多くの方を救済しようと日々活動されていらっしゃいます」
「そうなんだ」
「ロマンス様はとてもご利益のある神様でいらっしゃいます。必ず願いは成就してくださるでしょう。ただ知佳さんの場合、進歩の具合が表面に現れるまで時間がかかります」