教えて!恋愛の女神様
「それじゃあ、さっそく作業をしてもらおうかな」
「はい」
「ホールの中へ入ろうか」
裕矢の後をついて、すぐ後ろにあるドアから入った。中はとても広く、たくさんの机やイスが前から後ろへキチンと並び、天井には大きなシャンデリアが輝いていた。
(本当に、どこもかしこも立派だなあ)
ため息をつきつつステージの前まで行くと、中サイズの段ボールが一つ置かれていた。裕矢はそのダンボールを開けると、中からプリントの束を取り出した。
「このプリントを、椅子がついているとこに一束づつ、全部の席に置いて欲しいんだ」
「わかりました」
「けっこう重いけど、よろしくね。俺は受付のところで作業しているから、何かあったら言って」
「はい」
裕矢は私を一人残し、ホールを出て行った。ちょっとさびしかったが、『三千円』のバイト代を思い出し、『よし!』と気合いを入れ直した。
 しかし、この作業は意外と大変だった。裕矢が言った通りプリントの束は重く、フーフー言いながら、たくさんある机を前から後ろへ行ったり来たりした。
(あー良い運動だ!)
そう思いながら続けた。『重い重い』と思うとやりたくなくなりそうだから。
 配り終えたころには、ブラウスの脇の下と背中がしっとり汗ばんでいた。
(終わったーっ!やっと終わったーっ!)
軽い達成感に酔いつつホールを出て裕矢のもとへ行った。
「終わりました」
「ありがとう!それじゃ、早速次の作業をしてもらうかな」
「はい」
「ここに名簿がる。あいうえお順になっているから、セミナーを受けに来た人が受付をしたら、右横の空欄にチェックしてもらえるかな?」
「はい、わかりました」
「混んで来たら俺も手伝うから。あ、ちなみにこのリストすっごい大事だから、チェックの記入気を付けてやってね」
「り、了解です」
「ごめんね、色々注文つけて。このリストでお弁当の数を確定して、ホテルに最終個数を伝える事になっているんだ。ちょっとめんどうかけるけど、よろしくね」
「もちろんです。かんばります!」









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