教えて!恋愛の女神様
たまらずキョロキョロとあたりを見回した。同じ移動中の学生は私を変な物を見る目で見ていた。しかし気にしている余裕はない。ロマンスを見つけ、できるなら逃げたかった。
「知佳、行かないのぉー?置いていくよ!」
するとアミに呼ばれた。ユカもマアコも私を見ていた。三人とも様子は落ち着いていて、彼氏自慢はひと段落したらしい。
「い、今行くー!」
結局探せずじまいのまま、教室へ移動した。ものすごく気になったがここで無理をするとますます怪しまれると思い、涙をのんでガマンした。
 おかげで講義に身が入らなかった。あくびをする事さえためらわれた。
(家に帰ったら、絶対聞いてやるー!)
私の怒りに恐れをなしたのか、その夜ロマンスは現れなかった。
 ちなみに、裕矢のお誘いは断った。なんだかんだ言っても、ロマンスの言っている事は当たっていると思ったからだ。
-こんにちわ、裕矢さん。この前は良いアルバイトを紹介してくれてありがとうございました。とても助かりました。ただ、今週の夜はずっと予定が入っていて、残念ながら会う事ができません。ごめんなさい。来週の予定は、あさってになるとわかりますので、それまで待っていてください。わかり次第連絡します。-
「あーあ、おいしいイタリアンとか食べたかったなぁ」
メールを送った後、携帯電話を見てため息をついた。
 翌々日、水曜日。午後二時三十分に講義を終えると、正門へ向かって歩いた。今日も午後六時からバイトがある。それまでに洗濯をし、夕飯を食べ、少しでも修行をしたかった。
(できるだけ早くモテ子になるぞ。でるだけ早くモテ子になるぞ!)
自然と歩みにも力が入った。
「知佳ちゃん!」
あと五十メートルで正門という場所で誰かが読んだ。声をした方を見れば、白衣を来た裕矢が笑顔で手を振っていた。彼が立っているのは、図書館に通じる小道の入り口。仕事を抜けて来たらしい。
 私は小走りで裕矢の元に駆け寄った。
「こんにちわ」
「こんにちわ。もう講義は終わり?」
「はい。裕矢さんはまだお仕事ですよね」





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