井上真緒編
3人は、終電近くまで飲んで、それで別れた。真緒は、西武新宿線のいくつか目の駅に住んでいた。駅からは、5分程度で、物件としてはとにかく気に入っている物件だったので、3ヶ月前に更新も済ませた。ただ、ここのところ帰る足がどんどん重たくなっていた。あれだけ気に入っていた物件だったので、それが信じられなかった。体調も、家についた途端に、疲れがどっとでるような感じだった。でも、運が悪いことに更新をしてしまっていたので、すぐでていくという訳にはいかなかったのだ。今日は、いつもと同じように、風呂には入らずに寝てしまった。次の日に仕事があってもなくても、酒を飲むとだいたいそうだった。朝になって、真緒は、風呂に入って食事をしてから会社に出かけた。真緒の不動産屋は、大手とはいってもどちらかというと、最初から開発するのではなくて、古くなった商業ビルやマンションを、リフォームして、新たに売り出す会社だった。これは意外と、最近は儲かっていた。不況だったにもかかわらず、それほどその影響は受けなかったのだ。
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