キミがスキ
「38度7分。風邪です」
「桜見たい…」
「無理。ゆっくり休まないと」
きっと疲れが出たのだろう。
夜勤明けだった私は彼女の看病をしながら、別室で少しだけ休む事にした。
あんな事が起こるとは思わずに…
夕方になった頃
彼が帰って来る様子がぼんやりと聞こえてくる。
その後を追うように数人の足音がした。
こんな時に…
段々と意識が戻る中、誰かが帰って行ったり、地震が起きたりして
そんな中でも彼が彼女を気遣う様子はあったし、私が居る部屋に来たりもしていたが、私は寝たフリをしていた。
その内、部屋には彼と女性が2人きりになって
少し開いたドアの隙間から会話が漏れて来ていた。
ここでさえ聞こえるのに、彼女にだって聞こえてるはず…
自分が弱ってる時に他の女に言い寄られて断る彼を
彼女はどんな気持ちで聞いていただろう…
そんな事を思うと酷く胸が痛んだ。