キミがスキ
「ねぇ、まだぁ?足痛いんだけど…」
「もう少し。てか、似合いもしないパンプス履いてくるからだろ」
あれは、私が17歳の頃。
当時、仲良かった男子がヤンキーで、先輩からバイクを譲って貰う約束をしていて
その先輩が族のトップを争うくらい強い人で、興味本位で一緒に行った。
古びたアパート、錆びた階段、野良猫にご飯をあげる老人。
昭和初期の風景を見てるみたいで
チャイムも何もないドアを男子がノックすると、先輩が少し眠そうな顔を覗かせて、すぐに笑った
心臓がつつかれたみたいに
どくん。と聞こえた気がした
腰まで伸びた髪を真っ白く染めて
身体が大きくて
目が離せない
「悪いな。バイク違うとこに停めてんだ、持ってくるから、これ食って待ってて」
そう言って、男子と私にプリンを渡して来た。
優しそうな人なのに
こんな気遣い出来る人がどうして…