キミがスキ


それが恋だと気付いたのは、翌年のこと


族を引退した先輩は違う場所へ引っ越し、キャバ嬢の送り迎えをしてるらしいことを聞いた。


それからも風の噂で飲み屋に働いてるとか、ホストをしているとか聞いたけど

女の噂も絶えずに耳にしていた。



それから風の噂も途切れ途切れになり、恋に憧れた季節は長い年月にかき消されそうなほど

小さな小さな想いがふうわりと揺らめいて


それでも

あの時、食べたプリンの味は忘れられず


どこかで先輩を探している自分がいた



そんな時だった

25の時、たまたま選んだファミレスに彼が働いていた。


過ぎ去った年月は随分と姿を変えていたけれど

大きな身体も、

優しい声も、


あの時のまま。

時間が止まった気さえした



だけど

彼には彼女が居た


いつ、どこで巡り会っても伝わることのない気持ちが

また降り積もる…

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