キミがスキ
「湊ちゃんのプリン食べたいな…」
空に大きな花が咲いて、夜の闇へと散り散りに消えていく
残った煙りが風に揺らいで、次の花火までの間に
彼女がそうポツリと言った。
「あとで作るよ」
その言葉をかき消すように花火が上がり、幾つもの花が咲いては散る。
星座の位置さえ見えない
霞んだ空
「湊ちゃん」
「ん?」
「湊ちゃんが初めてプリンくれた時のこと…覚えてる?」
「忘れるワケないだろ。ホワイトデーじゃん」
あの4つのチョコにあったメッセージ
お返しはクッキーが普通だったかもしれないけど
クッキーは作れないから、プリンを作ったんだ。
なんで今頃になってそんなこと…
「違うよ」
「違わねーよ」
「もっと…ずっと前」