キミがスキ
「っ!……変な夢見たし…つか、今何時…?」
「9時~」
「もうそんな時間か…飯作るわ」
遊ぶのはいいけど。
寝てる人に濡れタオルを被せて起こしたり、オデコにアイライナーで『肉』と書くのはいかがな物か。
それに気付かない男も相当なアホだが…
このマイペースとアホを生温かく見守る私。
羽田 瑠実(はた るみ)、33歳。
アホな男と繋がってる事を認めたくないが、正真正銘の姉。
湊のマンションの近くにある病院の看護士を務めている。
自分のアパートはあるが、そこに帰るのが面倒くさく、こうしてここで寝泊まりをさせて貰うのが日課。
世間では『小姑』と呼ばれてるけれど
「姉貴、飲むだろ」
「ん、サンキュ」
「…プリン?」
「あぁ、これはプリン体が…あああっ!」
世間一般の問題には到底及ぶ事もなく
「にがっ…お返しします…」
「一応、ビールの部類だからね…」
全く無縁の世界でお世話になっている。