不似合いカップル!?
「いいじゃん。早く行こう♪ ほら海翔君も」

 と言って、仁南って女は右に希一の腕を絡ませて、左に俺の腕を絡ませた。
 何、考えてんだ、この女。俺の腕に絡む仁南の腕をスルリと交わした。

「あぁもう。海翔君たら、そんなトロトロ歩いてたら新幹線に間に合わなくなっちゃうよ」

 そう言って、仁南はまた、腕を絡ませてきた。また交わそうとしたら、今度は女じゃああり得ねぇ力で俺の腕を掴んでいた。そして、グイグイ俺と希一を引っ張って歩いてく仁南。
 俺は奈緒が心配で仕方なかった。ふと、後ろを向くと、奈緒は俺達と数歩離れて歩いていた。そして俺達を視界に入れないようにしてるのか、下ばかり見て歩いていた。
 その時、奈緒は下を向いてるせいか、右から歩いてくる性質がわりぃ男に気付かず、ぶつかった。
 
 ドサッ。

「…いったぁ…」

 奈緒は地面に思いっ切り尻もちをついた。

「おい! 奈緒大丈夫か!?」

 俺が駆け寄ろうとしたが、仁南に思いっ切り掴まれてるから、動けねぇ。

「おい、てめぇ。離せ」
「…」

 何、無視してんだよ!
 その時、奈緒にぶつかった男が奈緒を睨んで言い放った。

「てめぇ。どこに目付けてんだよ!?」
「す、すいません」
「!! お前、可愛いな」

 !?!? はぁ? あの男、何言いやがるんだよ! あぁ!! いい加減この女、離せ!

「…えっ?」
「これから俺と遊ぼうぜ」
「えっ!? ちょっと困ります」
「いいじゃん。ねっ」

 ヤバい。あの男、奈緒に腕掴んでやがる。許さねぇ。奈緒は俺の女だぞ。まず、この女の腕をほどかねぇと。

「おいっ! 女。腕離せ。」

 俺は、思いっ切り、仁南の顔に睨んだ。そしたら、仁南は、とんでもない一言を言った。

「いいじゃない。奈緒ちゃんは、あの男と遊んで、うちらだけで行こうよ!」
「はぁ? てめぇ。殴られてぇのか!?」
「やだぁ。海翔君、怖~い」

 俺と仁南が言い合っている間に仁南の腕が希一から離れて、希一がスッと動いて奈緒の方へ向かった。

「コイツ、俺の女だから、返してくんねぇ?」
「ちっ。男いんのかよ」

 男は素直に立ち去った。
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