キミの隣で笑おう【完結】
振り返ることが出来ない。
声だけで、蒼が怒ってることがわかるから。
内履きの音で、蒼がこっちに向かってきていることがわかるから。
「おい、美恋」
掛けられた声に、余計に肩が上がる。
後ろに感じる蒼の存在に胸が苦しくなった。
「聞いてんのか?お前に言ってんだよ、バカ美恋」
聞いてる。
聞いてるよ、聞いてるに決まってるじゃん。
好きだもん、そんな蒼が好きなんだもん。
バカはどっちよ…
「いいから返事しろや」