愛と銃と。


きっと颯も勇気を出して
悩んで悩んで悩んで
別れを切り出したんだろう。

あたしはそれを
わかっているから。

わかっているから。

……わかっているのに!!


「今までありがと!」


あたしは溢れ出した涙を
堪えることができず、
だけど無理矢理笑って言葉を放った。



そして颯に背を向け
走り出した。

ただ夢中になって、
走り続けた。

もうどうでもよくって。

このまま適当に事故でも起こして
死んじゃってもいいと思った。

夢ならば覚めてよ。


「はあ…はあ…」


上がる息と心拍数が
現実だと思わせる。


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