愛と銃と。


何を言っているか。

それさえも定かではない。


「あたしはきっと、陽翔を好きになってた」


何もかも無茶苦茶だ。


「だけど今は、わからない。あたしは、怖い。嘘をつかれることが」


そしてあたしは陽翔の目を
真っ直ぐと見つめる。

陽翔は何ともいえない
捨てられた子犬のような
表情をしていた。


「この気持ちは陽翔が一番わかるでしょ?」


あたしはそう言うと
とうとう銃弾切れ。

スタスタと道を行く。


だけど陽翔はその場で
突っ立ったまま。

あたしは振り返らない。


振り返ったら
陽翔のあの表情を見たら
許してしまいそうになる。


許してもいいけど。

今のままではきっと
陽翔を信じることはできない。


それがわかっていて
関係を修復なんて不可能。



それにあたし、
言ってしまった。



9月だというのに
まだこの暑さ。

どうしようもなくイライラした。


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