愛と銃と。
\残想
あたしと陽翔は
学校から駅までの短い道を歩く。
道はまだ茜色に染まっていて
日の長さに夏の季節を感じさせられる。
右隣にいる陽翔。
触れそうで触れない距離が
どうももどかしく感じる。
あたしたちはただ
他愛もない会話を続ける。
その一時が
どうしようもなく幸せに思えた。
あたしの歩くスピードと歩幅に
何気なく陽翔は合わせてくれている。
その優しさに少し見直す。
あたしは陽翔と少しでも長くいたい。
だから気づかれない程度で
あたしはゆっくり歩いた。
陽翔にこの気持ちを
悟られてはいけない。
と、あたしは自分に
必死に言い聞かせた。
でもあたしの足は
止まりたいとさえ言っている。
それでも尚、歩く。