愛と銃と。


だって彼は今、
女の子と手を繋いで歩いているから。

あのイタズラな笑みを浮かべるのは
間違いなく颯だ。


なんだ。

新しい彼女、あたしなんかより
何倍も、何百倍も可愛い。

確かにかっこいい颯と
吊り合っててお似合いだ。


だけどなんでだろう。


許せない。

半面、悲しくなる。


怒りとも悲しみとも言えない感情が
複雑に絡んで解(ほど)けなくなる。


それはなぜだか、涙になる。


あたしはいつの間にか隣にいる
陽翔の制服をきゅっと掴んでいた。

そんな陽翔の体は
小刻みに震えていた。


あたしは顔を上げて
陽翔の顔を見てみた。



……。



なんていう顔をするんだろう。
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