秘め事
『お前こんなとこで何してんだよ!?』

「鍵…なかったから、蓮が帰ってくるの待ってた」

『はぁ?まぁとりあえず早く入ろうぜ』



玄関のドアを開けると、愛莉は低く屈んで中に入ってきた。


たぶん写真を撮られない様に気を遣ってくれてんだと思った。


ソファーに座った愛莉は、まだ寝ぼけているのかあくびをしている。



『何で連絡しねぇんだよ』

「ここまで歩いて帰ってくるのに、道が分かんなかったかったからケータイで地図見てたら充電切れちゃった」

『もしかして、鍵だけじゃなくて金も持ってねぇの!?』

「…うん」



俺は愛莉の隣に座り呆れかえった。


マジ意味分かんねぇ…。



『ってか実家に行ってたんじゃねぇの?』

「行ったよ」

『鞄は?』

「…実家」

『何で取りに帰んねぇんだよ…お前バカか』

「…そうかも」



愛莉の横顔は今にも泣きそうな顔をしていた。





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