秘め事
私の言葉に蓮は驚いて言葉が出ないようだった。



「ごめん…嘘ついてて。ただ、家に帰りたくなくて行く当てが無いって言っちゃったんだ」

『今は愛莉と生活してんの嫌じゃねぇし、謝んな。それにそんなこと俺に言っていいのかよ』

「いいよ。もう、何か、色々どうでもいい…」



ため息を吐き、頭を乱暴にかく蓮を見て、私の気分はどんどん沈んでいく。


いっそ全てが崩れてしまえばいいと思ってしまう。



『どうでもいいなんて言うなよ。お前は1人じゃねぇし、俺も付いてんだろうが』

「もう…蓮とは一緒にいられない」

『は!?』

「…私は蓮を汚したくない」



私の顔を見る蓮は、今まで見たことがないくらい怖い顔をしていた。



『何意味分かんねぇこと言ってんの?』

「そのままの意味だよ」

『意味分かんねぇよッッ!!!!』

「じゃぁ詳しく説明してあげるよ!!私は今まで1人が嫌で寂しくて居場所が欲しくて、どうでもいい男と数え切れないくらい体を重ねてきたッッ!!!!蓮に幻滅されるのも、軽蔑されるのも、汚してしまうのも凄く怖くなった…それにきっとッッみんなこんな女が幻想の歌姫だなんて知ったら幻滅する!!」





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