秘め事
『幻想の歌姫って…』

「私がEveだよ…。呆れたでしょ?秘密どころか男にだらしなくて、弱くて、勝手でッッ」



ボロボロと涙を流す私の体を蓮は力強く抱きしめた。


暴れる気力もなく、私は抵抗もせず涙を流し続けた。



『もういい』



蓮に全てを知って欲しかったと思う反面、私の事を嫌いになって罵ってくれれば、楽になれると思った。


もう、自分と葛藤しなくて済むと思った。



「すぐ、準備するから」

『なんのだよ』

「ここを出て行く」

『ッッ!ずっとここにいろよッッ!!』



私から体を離し私の顔を見る蓮の顔は、辛そうな顔をしていた。


正直こんな顔をされるとは思ってなくて、戸惑った。





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