秘め事
「れっんッッ」



喋ろうと口を開けても、どんどん深くなるキス。


ダメだと思いながらも、体は蓮を求める。


だけど…



「はぁ、はぁ……」

『…愛莉』



私は精一杯の力で蓮の体を突き放した。


涙が止まらない。


嫌だから涙が流れるんじゃない。


胸が…凄く苦しい。



「忘れるから…蓮のことも、ここでの生活のことも。だからッッ…蓮も忘れて……」

『あいッッ』



私は蓮の言葉を聞かずに走って部屋へ駆け込んだ。


急いで鍵を掛け、壁に背中を預け床に力なく座り込む。





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