秘め事
自分でもバカなことをしていると自覚している分、俺は翔平の顔が見れなかった。



『どうして、自分の心を苦しめるようなことをしたの?彼女にも失礼だ』

『最初は…断ったんだよ。でも、体だけでもいいから関わっていたいって言われた』

『それで自分の気持ちを隠す為に彼女を利用して、マンションに連れ込んだ?』

『…あぁ』



翔平が空の紙コップを握りつぶし、ゴミ箱に乱暴に捨てた。


翔平が俺にこんなに切れること今まであったっけ…。



『愛莉さんが好きならちゃんと正面からぶつかるべきだ』

『…………』

『佐伯さんとのことがテレビで流れてショックだった?心のどこかで愛莉さんもこの報道を見て同じ思いをしてくれないかって思ったんじゃないのか!?』

『…そうかもな』

『いつから…そんな男になったんだよ。……頭を冷やせ』



翔平の言葉は全て本当のことで、まるで全身をぶん殴られた気分になった。


愛莉………。





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