秘め事
立ち上がったはいいが、足がおぼつかないのが自分でもよく分かる。



『大丈夫?』

「うん、ありがとう」



私がよたつくと、聖也は直ぐ様倒れないように腰を抱いてくれた。


こんな酔っ払いに怒ることもなく、笑顔で接してくれる。


聖也は私に不満とかないんだろうか?


今思えば蓮からはよく怒られてたような気がする。


出会いも最悪だったっけ……。



『愛莉?』

「へっ!?」

『急にボーッとしてどうしたんだい?気分悪いの?』

「そ、そんなことないよ!!大丈夫だよっ」



聖也に笑って見せ、私は聖也から体を離した。


聖也と一緒にいる時に蓮の事を考えるなんて……。



「手…繋いでくれる?」

『…もちろん』



一瞬何かを考えるような悲しい目をした聖也。


こんな顔をさせてしまっているのは私……。


聖也の腕に自分の腕を回し、しっかりと手を握り私たちは部屋を出た。






< 141 / 166 >

この作品をシェア

pagetop