秘め事
今なら素直な自分の気持ちをちゃんと伝えられるような気がする。



『愛莉』

「な、何よ」

『俺はお前より有名になってみせる。お前と並んでも劣らない誰もが認めてくれるような男になる。だから……』

「…蓮?」

『だからその時は、この間の続きを言わせてほしい。聞いてどうするかは愛莉の自由だ』



愛莉の目には涙がたまっているように見える。


けどこぼれ落ちはしない。



「そんなの無理かもしれないし、いつになるかも分かんないじゃない」

『そうだな。でも、チャンスがほしい』



愛莉が微笑んだ瞬間涙が頬を伝って流れ落ちた。



「分かった。ちゃんと聞く…約束する」



そう言って愛莉はまた後ろを向き、佐伯さんと歩いていってしまった。






< 146 / 166 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop