秘め事
*****


目を覚ますと、ソファーで眠っていた私の体には肌触りのいいブランケットがかけられていた。


体を起こし、リビングを見渡しても聖也はいない。


他の部屋にもいなかった。


リビングのテーブルの上に置いていたケータイがチカチカ光っていた。


ケータイを開くと、メールが届いていた。



「ッッ………」



昨日あれだけ泣いたはずなのに、メールを見てまた涙が零れ落ちる。



愛莉へ


俺は愛莉の笑ってる顔が好きだよ。
だけど、昨日最後に彼に見せた笑顔…俺はまだ愛莉にさせたことがない。
これからも、俺にはきっと無理だ…。
愛しているから傍にいてほしいと思った。
俺が想えば想うほど、愛莉を苦しめる。
お互い別の道へ…進もう。
愛莉と出会えて良かった…幸せだったよ。

…元気で。


聖也



「ッッせいッやぁ……ッッ………」



私は声を我慢せずに泣いた。


泣いて泣いて、涙が枯れるほどに……。


私も聖也と出会えて良かったし…幸せだったよ。


ありがとう……






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