秘め事
断った次の日から毎日社長は会いに来た。


あまりにもしつこくて、私は嫌気がさしていた。


私が「もう来ないで下さい」っていう度に笑顔で「あなたがOKしてくれるなら」という社長に結局は根負けしてしまった。


私の条件にも笑顔で承諾してくれた。


条件というのはメディアには一切出ないこと。


デビューして約2年経つが、みんな私のことを幻想の歌姫だと呼んでいるらしい。


その名は全くメディアに出ていないのに、世界に認められるほどの歌と存在感を持っているというとこから付けられたらしい。



ある意味私の歌を必要としてくれている人が出来たことは、私にとっての居場所のようなものになっているのかもしれない。


でもその居場所もいつなくなってしまうか分からない。


売れなくなれば事務所にも居場所はなくなってしまう。






< 7 / 166 >

この作品をシェア

pagetop