秘め事
「ねぇ社長」

「何よ」

「私がどんな子でも、誰の子でも、守ってくれる?」

「しっかりやることやってくれるなら、どんなことをしてでも守ってあげるわ。むしろEveに牙を向ける奴がいたら、後悔するほど叩きのめしてやるから」

「アハハ…社長1人でも心強い。そんな社長に見捨てられないように、私は一生懸命歌わないとね」

「そうよ、しっかり働きなさい」



手馴れた手つきでタバコを消すと、社長はいつもの妖艶な笑みを残し建物の中へ入っていった。


せっかく作った私の居場所をこんなことで壊したくない。


私は水の入っていたペットボトルを握りつぶし、ゴミ箱に投げ捨てた。


建物に一歩足を踏み入れたら私はEve、私はEve、私はEve!!


私は自分に暗示をかけるようにスタジオに向かった。






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