秘め事
頬に触れ、聖也の綺麗な肌に指を這わせる。


忙しくても食事や運動を欠かさずしているから、こんなに綺麗なのかな。


私も見習わないといけないな。


聖也の頬や髪の毛を触っていると、目を覚ました聖也と目が合う。



「おはよう。ごめん、起こしちゃったね」

『いや、愛莉のお陰で凄く目覚めがいいよ』

「疲れてるみたい。もう少し眠る?」

『もう起きるよ。せっかく愛莉といるのに寝てるなんて勿体ないだろう』

「いつでも一緒にいられるでしょ」

『それでもだよ』



優しく微笑む聖也はゆっくりと立ち上がり、『シャワーを浴びてくる』と言い、寝室を出て行った。


私の心が不安定な事に誰よりも気付いているから、あんなことを言ったのかな。


居場所だけじゃなくて、心から聖也を愛せたら私は幸せになれるのかな。


努力してみようかなって思った。


私は蓮に抱いている思いを早く消したかった。





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