秘め事
レースのカーテンの上から玄関に歩いてくる3人が見える。


3人で帰ってきたんだ。


私がいないほうが家族っぽくていいんじゃないかと思う。


プレゼントだけ置いてすぐに帰れば良かったと後悔した。



『愛莉、ただいま』

「お帰りなさい。それと、お誕生日おめでとう」

『ありがとう』



そう言って私にハグをする父。


海外にいることが多いから、こういう触れ合いが当たり前になっているみたい。


父だけではなく、母にも同じことが言えるけど。



『愛莉少し大人になったんじゃないか?』

「そうかな?何も変わらないよ」



父、母、兄…みんなの笑顔が信用できない私は、完全に心の居場所をなくしてしまったような気がした。





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