追いかけっこ(仮)
自分のことが分からない?
だけど、嘘を吐いている瞳ではない。
しばらく沈黙が続いたが、
俺は沈黙を破るように口を開いた。
「……つーか、あれ俺のファーストキスなんだけど。」
そう、あれは俺のファーストキス。
「……へッ?!」
「なんだよ。」
「嘘ぉ!!!!!!」
心底驚いた表情をする怪盗V。
「ほんとだから。」
「信じらんない……。」
「何で?」
「伊次くん、かっこいいし……。」
さらっと言われた言葉に、
ドキッとした。