追いかけっこ(仮)
「“怪盗V”?!」
伊次龍樹は驚いたように口を開いた。
「うん。て、そんなに驚かなくても……。」
「いや……、何でもない。」
「私ね、本当に怪盗Vがいるんだとしたら、私と似てるんじゃないかなぁ。って思うの。」
「似てる……?」
怪訝そうな伊次龍樹に、
私は続ける。
「あ、顔とかじゃないよ?
本物とか見たことないし。
……でもね、雰囲気。っていうか、同じ様な境遇なんじゃないかな。って思うんだ。」
「同じ様な境遇……。」