追いかけっこ(仮)
「っていうか、なーんだ。
私てっきり伊次と華恋が付き合ったのかと思っちゃった。」
「私もー。」
「昨日も伊次にさらわれてたし?」
“さらわれてた”って……。
「ないから。」
きっぱりそう言ったとき、
少し胸が痛んだ。
私は原因不明の胸の痛みにふう。と息を吐いて、追求しようとする3人を軽くあしらっていた。
「華恋。」
……今来てほしくなかった。
『呼び捨て?!!!』
私は更に強くなった女子様の視線に、肩をすくめた。