追いかけっこ(仮)


「いいよ、聞いてあげる。」


齋藤は再び俺の隣に腰かけた。

突然の距離に心臓が一度大きく跳ねた。


「……で、どんな話?」


話を切り出す齋藤に、俺は話した。


「昨日、キスされたって言っただろ?」

「聞いた。」

「そいつとまた会ったんだ。」
「へぇ~。」


相槌をうつ齋藤。


「で、どうしたの?聞いたの?」

「聞いた。」

「何だって?」

「わかんねぇって。」

「なにそれ。」

「それ俺の台詞だっつの。」


分かんねえから聞いてんだけど。


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