追いかけっこ(仮)
風音の部屋のバルコニーの向かい側の木の上に着地する。
「あら、今日はなんだか騒々しいわね。」
「怪盗V!!」
警察の一人が私を見つけて、
声を上げる。
「今、女の子が落ちていったけど。」
「華恋!!」
伊次くんはバルコニーから身を乗り出す。
「たまたま私が受け止められる位置にいてよかったんじゃない?」
「華恋は無事なのか!?」
伊次くんは心配そうに私に聞く。
「えぇ、無事。
それより、これ、見えない?」
私は自分の首元を指差した。