追いかけっこ(仮)


コツ、コツ……、


静かな廊下を、
コツコツとハイヒールを鳴らしながら歩く。


「怪盗Vいたか?!」


少し近くで、
警察の声が聞こえる。


「いや……、」

「向こう行くぞ!!」


遠ざかっていく気配と足音。


「ここにいるのに。」


私はクスッと笑って、
一つの部屋に入った。


「怪盗V、楽しませてもらったわ。」

「……。」


私は、風音に恭しく一礼した。


「怪盗Vはいっつもこうやって“品”を持って来てくれてるのね。」


黙って会釈をする私に、
風音はクスッと笑った。


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