追いかけっこ(仮)
「華恋、どうして避けたの?」
風音の瞳の色が変わる。
それは、憎悪の瞳の色だった。
「次は動かないで。」
「……。」
「貴女さえ動けなくなれば、
貴女とずっと一緒にいられる……。」
風音はうっとりしたようにそういうと、
今度は、ベッドの横の引き出しから、ナイフを取り出した。
「大丈夫よ、華恋。
殺したりはしないわ。
ただちょっと歩けなくなるだけだから。」
風音はそう微笑んで、
刃先を私に向けて近づく。
「いや、風音……。」
「あら、なんで嫌なの?」
風音は不思議そうな顔をして、
近づいてくる。